福音と宗教

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X、新しい宗教

2、占い

 宗教という枠には当てはまらないと思われますが、今回は「占い」を取り上げましょう。占いは大昔からどこの国にもあったもので、決して「新しい」ものではありません。しかし、ここ二十年以上前から、ものすごいブームになって注目され、最近では、「占い依存症」になっている人たち(特に若い女性)も多いようです。初めは遊び感覚だったものが、次第に本気にさせられて……と聞きますと、カルト教団の罠に捕らえられた人たちと同じに見えて来ます。すべての占い師がそうだという訳ではありませんが、一部の占い師は、カルト教団まがいの悪辣な金儲けを企み、全財産を巻き上げられる等の被害も出ています。「たかが占い」と言っておられない状況が起こっているのです。現代人にとって、〇〇教団という枠に当てはまらない、新しい宗教感覚なのかも知れません。インターネットで「占い」を検索しますと、132,000,000もの件数がアップされました。ほとんどが「○○占い」といった実際的なもので、風水とか易とか姓名判断、手相、占星術といった古典的なものに加え、インターネット時代を反映してか、対面などの接触をしなくても、電話やメイルで、名前や生年月日など、いくばくかの個人情報を知らせるだけで、知りたい人の近未来を予測してくれるという、実にお手軽なものもあります。中には、山手線占い、うんち占い、ペット占い、家電占い、回転寿司占いなど、何のことかと思われるほど変わったものもありました。その多くは、金運、結婚運、試験の合否など、あなたの近未来の方向を教えましょうというもののようです。

 自分に自信が持てず、誰かに判断してもらいたい、そんな安直な現代的価値観が背景にあるのかも知れません。それなら「〇〇を信じます」という宗教意識と変わらないと思うのですが、手垢が付き過ぎた既成教団には属せず(宗教教団に入るのは怖いという意識からでしょうか)、不特定多数でいたい、自己保身のままで不安を解消したい。そんな思いが占い流行の下地になっていると思われます。


3、霊能・霊媒−1

 これは、もともと原始宗教に属する口寄せ(霊や神仏をその身に降ろす)や、イタコなどに見られる古いタイプのシャーマニズムと思われますが、前項の「占い」と共に、現代の日本社会でちょっとしたブームになっています。古いけれども新しい宗教現象と言っていいでしょう。

 相談者が何らかの回答を求めて占い師のところに行く場合、回答者が一種の霊能力を用いるケースもありますが、むしろ相談者は、最近亡くなった父親など、愛する人との別離(死)があって、もう一度会いたい、声を聞きたいと、「霊能力を持つ人」のところを訪れるケースが多いようです。「霊能力を持つ人」と言いましたが、こういった人たちには、霊魂や生霊、精霊などを感覚する能力を持ち、霊(亡くなった人、祖先、家に住みついた〇〇の霊など)と接触したり、会話を行う霊能者と、巫女の口寄せ、イタコといった、霊媒を行なって乗り移った霊の声を聞かせたり、姿形や声までも亡くなった人そっくりになる霊媒師がいて、区別しなければならないようです。しかし、いづれも異次元の世界?を今に持ち込んで人を魅了するわけですから、無批判に受け入れてしまう人たちにとって、カルト宗教にも似た警戒を要するのではないかと思われます。

  この異次元?の世界のことを少し見ていきましょう。特別な能力を用いて「〇〇教」と名乗りを上げるケースも圧倒的に霊能者に多いようですので、まずは霊能者からです。彼らについては意外な落とし穴がありますので、そのことも合わせて紹介しましょう。霊能者が常套手段として用いる手口ですが、彼らは、霊視、透視などをし、それを霊と接触した証拠としますが、相談者の信頼を得た後、除霊や浄霊に進みます。その時、道具立てとして、お札、線香、数珠(時には壺や掛け軸)などを高額で売りつけ、それが彼の「〇〇教団」のうまみになっていくのですが、いかにもカルト教団そのものではありませんか。霊能者がカルト教団の教祖に、或いは、その逆なのかも知れませんが。

  さて、霊視とか透視など相談者を信頼させる手法ですが、専門家の間でヒーリング(相手の心を読むという意味)と呼ばれる、二つの手法を紹介しましょう。一つは「コールド・リーディング」ですが、これは、事前の準備なしに(コールド)外観を観察したり、何気ない会話を交わしたりするだけで相手のことを言い当て、相手に「私はあなたよりもあなたのことをよく知っている」と信じさせる話術です。洞察と言ってもいいでしょう。心理学に基づいたもので、これを訓練された人たちは、被観察者のことが相当分かってくるようです。カウンセラーなどは、その専門家なのでしょう。

  もう一つ「ホット・リーディング」ですが、これは、対象となる人の家族関係や周囲の住民などに事前調査し、その人に関する情報を、リーディング直前の立ち聞きに至るまで、あらゆる方法で調べあげるものです。こうした調査では、協力者や私立探偵まで動員されることがあり、自称・霊能力者や自称・超能力者の間で膨大な「顧客名簿」が作成され、依頼者の悩みなど、背後関係に関する情報の共有さえあるようです。

  ところで、霊視とか透視など相談者を信頼させる手法ですが、それが本物の、異次元の霊視であったり透視であったりした場合のことは、別問題として取り扱わなければなりません。


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