福音と宗教

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X、新しい宗教

1、カルト教団

f、阿含宗


 仏教系から、もう一つだけ見ておきましょう。阿含宗です。これは、1954年に設立した観音慈恵会が前身だそうです。「阿含宗」は、ブッダが直接説いた阿含経を唯一の教典とすることから名付けられました。一般に「桐山密教」として知られていますが、それは、教祖・桐山靖雄が、真言宗の小田慈舟大僧正より最高最奥とされる秘法を伝授されたためでしょう。しかし、彼はこれにヨガの秘法と道教に伝わる気功の秘法を取り入れ、ブッダの成仏法をもとに新しい方法を創案するなど、独自の法をつくり上げました。弟子の一人と思われる人の、教祖賛美の声を聞いてみましょう。「桐山靖雄を管長として、シャカの聖霊宿る真身舎利を本尊に、すべてのカルマを断つ仏陀直説の成仏法、解脱宝生の功徳を授ける如意宝珠法、21世紀のホモ・エクセレンスを創造する仏陀の法、この三つの特殊な修行法を持つ阿含宗こそ、地球の危機を救い、人類滅亡を防ぐ救世主の使命をになう僧伽(サンガ)であると確信します。」 桐山教祖は、釈迦の生地やローマ教皇庁を訪れ、9.11事件後にニューヨークで護摩法要を行ない、京都で星まつりを行なうなど、社会の耳目を集めることに関心があるようです。


g 、PL教団

 カルト教団、神道系の教団を二つほどあげてこの項を閉じます。その一つはPL教団です。
 これは、御木徳近がPL(パーフェクト・リバー・完全なる自由)を掲げ、昭和16年に創立した教団ですが、初代教祖を徳近の父・徳一とし、徳一と徳近が入信して師と仰いだ御嶽教の金田徳光を幽祖と呼んでいます。その辺りの経緯はごちゃごちゃしていますので触れませんが、金田が病死した後、徳一は風紀問題を起こして教団から追放されながらも、大正13年、自分が金田の正統な後継者であると主張して、教団に対抗して別教団を結成し、昭和3年、教団名を「扶桑教ひとのみち教団」としました。これを引き継いだ徳近は、教団解散後、「人生は芸術である」(第一条)と説いた『PL処世訓21箇条』を基礎に、PL教団を設立しました。佐賀、静岡時代を経て、「ひとのみち教団」時代の100万人とも言われる信者からの献金で、大阪府富田林市に300万坪という広大な土地を取得、その敷地内に、教団本部である大本庁、大本庁神霊を祀る正殿、徳一の霊を祀る初代教祖奥津城、万国の戦没者を超宗派で慰霊する超宗派万国戦争犠牲者慰霊大平和祈念塔、高校野球で有名なPL学園高等学校の他、中学校、小学校、幼稚園、専門学校を造り、かつては、PL学園女子短大、遊園地、ゴルフ練習場などもあったそうです。8月の教祖祭には、式典の一つとして、12万発という世界一の花火大会を行なうなど、外受けする方向を目指しているようです。


h、世界真光文明教団

 神道系カルト教団のもう一つは、世界真光文明教団です。真光系諸教団には他に神幽現救世真光文明教団、崇教真光、陽光子友乃会などがありますが、いづれも初代教祖の岡田光玉の創設した世界真光文明教団の分派と見ていいでしょう。この教団の中心は、浄霊法である「手かざし」で、病人の治療を行なうというものです。主祭神は御親元主真光大御神(主の大神)で、教団では「神道の天照大神、仏教の聖観音、キリスト教のヤハウェ、回教のアッラーなどの大もとの神である」と主張していますが、これは新興宗教の一つの特徴で、自分たちの神が最高であると大風呂敷を広げる傾向があるようです。教団が神の計画であるとした、「神理正法の教え」を紹介しましょう。「主(ス)神は、神の世界を地球上に造るために人間を創造したが、人間は物欲に捕らわれて罪を重ね、主神との交流ができなくなった。主神は釈迦やモーゼ、マホメットなどの聖者を世に送ってこれにブレーキをかけようとしたが効果がなかった。それで、人類の物質文明を行き詰まらせることを決意し、火の洗礼によって地球と人類を浄め、次の新しい文明への再出発をさせようとしている。その実現のために、初代教え主・岡田光玉を通して、人類に火の洗礼が到来することを知らせるとともに、洗礼から逃れる方法として手かざしによる真光の業を与えた。」 どこか聖書の記事に似ているようですが、多分、借り物のつぎはぎなのでしょう。新興宗教のカルト教団の、共通の手法が浮かび上がってきます。


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