福音と宗教

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X、新しい宗教

1、カルト教団

c、モルモン教−2


 ニューヨーク州で始まったモルモン教が、本部のあるソルトレイク市を中心に、ユタ州で栄えることになった経緯に触れておきましょう。彼らは、伝道目的のため集団移動していましたが、教義の大胆さ(多妻婚等)から、行く先々で地元住民の激しい反感を招き、ミズリー州、イリノイ州と移動を繰り返し、ついにモルモン教徒だけの「神の王国」建設を目指すことになります。ジョセフの死後、二代目大管長ブリガム・ヤングは、多数の信徒を引き連れて西部への大移動を決行。ロッキー山脈の麓に広がる、塩の砂漠と塩の湖と周囲を岩山に囲まれた広大な土地に、自分達の町を築くことにしました。ソルトレイクを中心とする、ユタの地です。1900年には、各地から移住したモルモン教徒が、20万人を数えたそうです。今日のユタ州は、自然に囲まれた美しい農地が続き、ソルトレイクシティーは、整然とした町並と、高原の美しい自然がみごとにマッチした、素敵な都市になっています。

 ところが、多妻婚が連邦法に抵触して教団は連邦政府と対立し、1857年にはユタ戦争が勃発しました。しかし翌年、和平が成立。ブリガム・ヤング死亡の後、教団は独立国家建設をあきらめて政府側に歩み寄り、1890年に多妻婚を禁止しました。連邦政府は、ユタを準州から州に格上げして自治権を認め、ユタ州は名実ともにモルモン教徒の実効支配地になりました。ユタ州では大管長が、宗教のみならず、政治、経済にも独裁者であることの背景が、こうして整えられました。

 教団の最高指導者「大管長」を中心に、副管長と十二使徒定員会が、教団の一切を支配していると先に述べましたが、実は、宗教教団としてのモルモン教は、一般の礼拝施設である教会堂とは別の、神殿と呼ばれる特別な礼拝施設があり、そこ(神殿)に入ることを許された者だけが教理の中核部分を教えられ、そこで教えられたことは口外しないという、秘密主義を徹底しています。ですから、ほとんどの信徒たちは、モルモン教の実質を知らないまま、単にキリスト教の一派と思い込んでいるようです。大管長の「啓示」がモルモン経典などの正典を超えていることも、秘密主義がその実体を信徒の目から隠し、問題性に気づく人たちは極めて少ないのです。中心教理の「神」も、もともと人間神であって、それも数億という多さ、その神々が、実は多妻主義者であったなどは、隠されています。そして、そんな教理が今も健在かどうかは、不明のままです。なにしろ、秘密主義のうえ、大管長の啓示で重要教理さえも変容していくのですから。

 秘密主義とその変容は、モルモン教団だけではなく、カルト教団の大きな特徴と思われます。時勢に応じて訂正を繰り返し、新しい教理を持ち出して、その不具合を修正する。そうして、ますますつじつまが合わなくなるのです。また、多妻婚など、表面上禁止されているのに、幹部内では今も行われているといった、人間の欲望が同居しています。人間の欲望と権力志向が造り上げた宗教、と言えそうです。


d、その他のキリスト教系カルト教団

 キリスト教系・カルト教団を、統一協会、エホバの証人、モルモン教と見てきましたが、他にも、カルト教団であろうと推測される教団は多くあります。形態や規模の違いはあっても、カリスマ的教団創立者(教祖)がいて、二代目、三代目の後継者、或いは教団の幹部会が中枢となって教団を発展・拡大させていく、信者をマインド・コントロールして盲目的服従を要求し、狂信的なエクスタシーを伴い、教義などが何度も訂正され、しかも隠された部分を持ち、それが教団の神秘性を形成しているなど、他のカルト教団とも共通点が多いようです。一応、聖書を聖典としていますが、それほど重きをおいているようには見えません。聖書の教えより上位に、聖書解釈に名を借りた、教祖の教えが組み込まれているからでしょう。それがメッセージという形で信徒を拘束する、キリスト教系カルト教団の特徴なのかも知れません。もし、礼拝などで、説教者が創立者賛美に走るようなことがあるなら、気をつけたほういいと思われます。カルト教団化しかかっている?と、疑ってみる必要がありそうです。日本で数えられる、この種のキリスト教系カルト教団の個々の説明は省きますが、名前を挙げてみましょう。*摂理 *聖神中央教会 *キリストの幕屋 *クリスチャン・サイエンス *ニューソート *主の十字架クリスチャンセンター *ユニティ派 *心の集い *瑠璃教会 *子羊の群れ(子羊の群れキリスト教会)等々。

 上記の他にも、そのような活動している教団があるかと思われますが、多くは個々の教会であったり、教団名を持たない群れであったりと、実体は知られていません。気をつける必要がありそうです。


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