福音と宗教

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X、新しい宗教

1、カルト教団

a、統一協会−2


 まず、この教団の伝道方法から紹介しましょう。
 この教団は、草創期(日本での教団設立は1959年)には、教団名を出して伝道していましたが、世間の評判が悪くなった1982年頃から、教団名を隠し、ビデオを用いた伝道方法を取るようになりました。街頭で生活意識アンケートをし、興味を示した人をビデオセンターに連れて行き、世間話や食事を出したりしながら、自己犠牲を賞賛する教団関連のビデオを見せ、次第に教団に引き入れていったようです。次に、1~4日程度の合宿形式の修練会に2回に分けて参加させ、様子を見ながら、再臨のメシアが来ること、その再臨のメシアは文鮮明であるという、教団の根本思想への献身の誓約を求めます。修練会の期間中は、スタッフや参加者同士との会話以外、外部との連絡は一切させません。その後も、住み込みの教義研修や伝道の実践、経済活動といった、訓練課程があります。

 そして、世間の強い風当たりを回避するためか、これもカルト教団と目される、弥勒菩薩を奉ずる仏教教団を、傘下に入れました。その教団の教えでは、文鮮明夫妻は弥勒の化身なのだそうです。信者は学校や会社を辞め、教団施設の共同生活に入って外部との連絡を絶ち、自分の貯金ばかりか、親の財産まで持ち出して、教団に献金してしまうケースが多く見られます。いづれも、マインド・コントロール(洗脳)ではないかと指摘されていますが、その訓練を受けた人たちは、教団外の人の話を聞くことが出来ないようです。

 その伝道には、信者を獲得する以上の目的がありました。
 教団名を隠しながらビデオを用いて伝道するようになった、1980年代初め頃と時期が重なりますが、教団は、「霊感商法」と呼ばれる悪名高い経済活動を、伝道方法として用いるようになりました。繁華街の街頭などで無料の手相占いや姓名判断(最近は風水も)を行ない、関心を示した人を霊場と呼ばれる会場に連れて行き、家系図などを鑑定しながら、霊能者を装った信者が聞き出した本人や家族の不幸の原因を、先祖の因縁話を使って説明し、先祖が救われるとか、このままでは不幸になるなどと不安を煽り、法外な値段で壷や水晶玉や印鑑などを買わせるというやり口です。「この〇〇を買えばメシア(文鮮明)を受け入れることになる」「この〇〇を買えばあなたも家族も救われる」というわけです。他にも、「北方領土返還運動」「世界平和女性連合」等のNGO、NPO法人のボランティア団体をいくつも作り、障害者、難民の救済などの福祉を装って、募金活動を行なっています。

 教団には、地上天国を実現するために、“すべてのものを神に返す”という教えがあるそうです。特に日本は「母(エバ)の国」として、夫である「アダムの国」の韓国や、子供たちである世界の国々に経済貢献をする責任があるとされ、信者は、自分の財産だけでなく、すべて人の財産を神の側に捧げることが、救いの条件になると教えられます。そのためなら、人をだます違法行為でも、天的に善になると指導されており、それが「霊感商法」を生み出す原動力になったようです。

 この教団だけではなく、宗教というと誰もが思うことですが、人間社会を超えた霊(スピリチュアル)の世界での活動を誇示したくなるようです。統一協会も例外ではありません。この教団は、生前報われないまま怨みをもって悪霊となった先祖がおり、これが不妊、アトピー、精神病を初め、様々な病気や不幸を起こしているので、その怨みを解く「先祖解怨式」という儀式を受けなければならないと説きます。原始宗教に見られる、除霊の一種でしょう。その権威を持つ者は、もちろん教祖文鮮明で、彼はシャーマンでもあります。ただ、除霊のために何百万円という献金が必要なところが、いかにも新興のカルト教団らしいではありませんか。お金だけが目当てなのです。

 そして、新興カルト教団に共通の要素と思われますが、この教団にも、現実世界での権力志向(政治への介入)が見られます。教団のもう一つの顔と言ったらいいでしょうか。「勝共連合」という、反共を旗印に掲げる政治団体がそれです。選挙の「てこ入れ」をすることで、自民党や民主党のかなりの数の政治家たちを、親派にしているようです。その目的は、もちろん教団の利益保護のためで、実効性もあるようです。また、韓国での教団草創期には、「統一産業」という会社を設立して銃の製造を行ない、日本の各地で、信者による銃砲店を経営していました。信仰の訓練として、信者にハンティングや銃砲訓練をさせ、教団の武装化という、危険思想も顔を覗かせています。近年、そんな体質は表に出てきませんが、それは依然としてまだ健在と見るべきでしょう。


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